属人化を解消し、自律運用可能なインフラへ
1990年代からのUNIX/OSS経験とクラウド技術を融合し、属人化を構造的に解消する自動化基盤を構築。標準化とGit管理により、チーム全体が運用できるインフラストラクチャーを実現します。
そのインフラ運用、いつまで”あの人”に頼りますか?
「インフラのことは、Aさんしか分からない」 「手作業での定例オペレーションに、毎月貴重なエンジニアリングリソースを奪われている」 「仕様書や手順書が古く、形骸化している。誰もが安心して運用できる状態にしたい」
多くの組織が抱えるインフラ運用の属人化問題。それは、単なる非効率だけでなく、特定担当者の退職が即ビジネスリスクに繋がる、深刻な経営課題です。
私たちは、1990年代からのUNIX/OSSの深い知見と、最新のクラウド技術を組み合わせることで、この根深い課題を構造的に解決します。単なる実装代行ではありません。「なぜその技術を選ぶのか」という設計思想から、「誰でも安全に運用できる」状態までを完全にパッケージ化し、お客様のチームが自律的にインフラを改善し続けられる基盤を構築します。
私たちが提供する価値
1. “秘伝のタレ”を根絶する、完全なナレッジ共有
私たちの納品物は、コードだけではありません。チーム全員がインフラの”オーナー”になるための、生きたドキュメントと文化そのものです。
- すべてをGitで管理: インフラ構成 (IaC)、自動化コード、各種ドキュメント、アーキテクチャ図まで、インフラに関するあらゆる情報を単一のGitリポジトリで管理。変更履歴はすべて追跡可能で、レビュープロセスを通じてチームの知識レベルを平準化します。
- “README駆動”開発: リポジトリのREADMEを読めば、そのシステムの目的、アーキテクチャ、運用手順、トラブルシューティング方法まで、必要な情報がすべて手に入ります。私たちは、ドキュメントを「後から書くもの」ではなく、開発の出発点と考えます。
- 技術選定の透明化: 「なぜTerraformではなくCloudFormationなのか」「なぜStep Functionsを使うのか」といった技術選定の背景や意思決定プロセスをすべてドキュメント化。これにより、将来の技術刷新やアーキテクチャ変更の際にも、チームが迷わず最適な判断を下せるようになります。
2. 机上の空論ではない、ハンズオンでの実証主義
私たちは「できます」とは言いません。「できました」という事実のみを成果物として提供します。
- PoC (Proof of Concept) の徹底: 設計段階で技術的なリスクが予見される場合は、必ず小規模な実証実験を行い、実現可能性を証明した上で本格実装に進みます。
- 現場でのハンズオン: 私たちが一方的に構築するのではなく、お客様のエンジニアとペアプログラミングやモブプログラミングを行いながら、共に手を動かし、知識とスキルをリアルタイムで移管します。
3. ベンダーロックインを回避する、標準化思想
特定のベンダーや個人に過度に依存するシステムは、将来の足かせとなります。私たちは、長期的な視点で、お客様の選択肢を最大化する設計を心がけます。
- 標準技術の採用: 業界で広く採用され、ドキュメントやコミュニティが充実しているオープンな技術を積極的に採用します。
- 疎結合なアーキテクチャ: 各コンポーネントが独立して機能する、疎結合な設計を基本とします。これにより、一部のコンポーネントを別の技術で置き換えるといった、将来の変更にも柔軟に対応できます。
サービス構造:3つのフェーズによる柔軟な支援
Phase 1: 診断・設計(1ヶ月目安)
「何が問題で、どう解決すべきか」を明確にします。 現状の業務フローとインフラ構成を徹底的に分析し、課題を可視化。その上で、解決策となるアーキテクチャ設計、技術選定、そして具体的な実装計画を詳細なドキュメントとしてご提案します。このフェーズのみのご契約も可能で、設計書を元にお客様自身で実装を進めることもできます。
Phase 2: 実装・構築
設計を、完全に動作する”かたち”にします。 Phase 1で定義した設計に基づき、Infrastructure as Code、自動化ワークフロー、CI/CDパイプラインなどを実装します。すべての成果物は、前述の「完全なナレッジ共有」の原則に基づき、Gitリポジトリと詳細なREADMEとして納品。このフェーズが完了した時点で、お客様は完全に自律運用可能な状態となります。
Phase 3: 運用・改善(オプション)
自律運用への移行を、伴走支援します。 構築したシステムがお客様のチームに完全に定着し、安定稼働するまでをサポートします。定期的なレビュー会を通じて、さらなる改善点の洗い出しや、新たな自動化の提案なども行います。
実績事例:大手企業におけるインフラプロビジョニング自動化
課題: 開発・検証環境の構築が、特定の2名の担当者による手作業で行われていた。1台あたり8人時を要し、月50台の対応が限界。開発のボトルネックに。手作業による設定ミスや、セキュリティ設定の漏れが頻発。
解決策: Step FunctionsとCloudFormationを組み合わせた、完全自動のプロビジョニングワークフローを構築。全てのコードと手順をGitで管理し、チーム全員が実行できる状態に。
成果: 年間594人日 (約5,940万円相当) の工数を削減。プロビジョニング時間を 8時間/台 → 約30分/台 に短縮。属人化を完全に解消し、チームメンバーなら誰でも安全に環境構築が可能に。手作業ミスを根絶し、ガバナンスとセキュリティを大幅に向上。
対応技術領域: 最適な技術を組み合わせ、実用的な自動化を実現
私たちは特定のツールに固執しません。AWSのマネージドサービス、オープンソース、そして必要に応じたカスタムスクリプトを柔軟に組み合わせることで、お客様の環境に最もフィットする、持続可能で堅牢な自動化基盤を構築します。
AWSネイティブによる自動化・オーケストレーション
- ワークフローエンジン: Step Functions を中核に、複雑な手動プロセスを確実性の高いステートマシンへと変換します。
- サーバーレスコンピューティング: Lambda を活用し、イベント駆動で動作する柔軟な処理を実装します。(Python, Go, TypeScript 等)
- イベント駆動アーキテクチャ: EventBridge を用いて、システム内外のイベントをトリガーとした疎結合な自動化を実現します。
- システム管理: SSM (Systems Manager) を活用したOSレベルの自動化や、Parameter Store/Secrets Manager による安全な設定値管理。
Infrastructure as Code (IaC)
- プログラマブルIaC: AWS CDK (TypeScript) を第一の選択肢とし、アプリケーションコードと同様の柔軟性と再利用性を持つインフラ定義を推進します。
- 宣言的IaC: マルチクラウド環境や既存資産との連携が必要な場合は、業界標準の Terraform を採用します。
- カスタムスクリプト連携: CDKやTerraformだけでは表現しきれないロジックは、Python, Go, Shell (Bash) によるカスタムスクリプトを組み込み、実現します。
CI/CD と DevOps
- パイプライン構築: GitHub Actions や GitLab CI を中心に、コードの変更から本番デプロイまでを完全に自動化します。AWSの CodePipeline/CodeBuild も活用します。
- デプロイ戦略: 安全なリリースを実現するため、Blue/Greenデプロイメント, カナリアリリースといった高度な戦略を実装します。
- セキュリティの統合 (DevSecOps): パイプライン内に SAST (静的解析) や SCA (ソフトウェア構成分析) を組み込み、セキュリティを開発の初期段階で担保します。
監視とオブザーバビリティ (可観測性)
- 統合監視プラットフォーム: Datadog や New Relic などのSaaS製品を導入し、インフラからアプリケーションまでを統合的に可視化します。
- クラウドネイティブ監視: CloudWatch (Logs, Metrics, Alarms) をフル活用し、AWSリソースの健全性を常時監視します。
- オープンソーススタック: Prometheus と Grafana を組み合わせた、柔軟でコスト効率の高いメトリクス監視基盤を構築します。
- SLO/SLI設計: ビジネス目標に基づいたSLO/SLIを定義し、単なるリソース監視ではない、本当に意味のあるアラートシステムを設計します。
私たちの技術思想
1. 技術の深掘り
私たちは、表面的なトレンドで技術を選びません。「なぜその技術なのか」を、エコシステムの成熟度、長期的な運用実績、そしてお客様のビジネスコンテキストに基づいて、根拠を持って選定します。本質を理解しているからこそ、シンプルで堅牢な設計が可能です。
2. ハンズオンでの実証
机上の空論は提供しません。私たちは「できます」ではなく、「できました」という実証済みの成果のみを納品します。PoC(概念実証)を通じて技術的なリスクを早期に洗い出し、実運用を前提としたテストをパスしたものだけが、お客様の環境に展開されます。
3. 価値ある成果物
私たちの納品物は、コードだけではありません。Gitリポジトリ、図解されたアーキテクチャ、そして再現手順を網羅したドキュメントまでを含んだ「運用可能なシステム」そのものです。いつでも、誰でも、引き継ぎ可能な状態こそが、真に価値ある成果物だと考えます。
4. 標準化によるロックイン回避
私たちは、特定の個人やベンダーに依存するシステムは技術的負債であると考えます。広く使われている標準的な技術を採用し、疎結合な設計を徹底することで、お客様が将来にわたって技術的な選択の自由を維持できるよう支援します。
こんな組織におすすめ
- インフラ運用が特定の人に依存している
- 手作業が多く、ミスやスケール課題を抱えている
- AWS/クラウド活用を進めたいが、設計指針が定まらない
- CI/CD、監視基盤を標準化したい
- レガシーなインフラをモダナイズしたい
よくある質問
Q: Phase 1のみの契約は可能ですか? A: 可能です。診断・設計のみを受け取り、実装は自社で行うケースにも対応しています。
Q: 実装後のサポートは必須ですか? A: Phase 3(安定化・拡張)はオプションです。Phase 2完了時点で完全に引き継ぎ可能な状態になるため、必要に応じて選択できます。
Q: AWSに限定されますか? A: AWS中心ですが、マルチクラウド環境やオンプレミス連携も対応可能です。ご相談ください。
Q: どのような技術スタックに対応できますか? A: CloudFormation、Terraform、Step Functions、Lambda、CI/CDツール(GitHub Actions、GitLab CI等)、監視ツール(Datadog等)など幅広く対応します。
Q: どのようにして属人化を解消するのですか? A: 全てのコード・仕様・運用手順をGit管理し、図解・README完備で透明化することで、チーム全員が理解・運用できる状態を実現するためです。属人化を構造的に解消します。